「…さっきの兄貴らしい姿は何処へやら…」
と、苦笑いしてあたしの背中をさすって宥める。
それから、
あたしを2階の自分の部屋へと誘導し、
「お、おいっ…!」
「…茶でも飲んでくつろいでなさいよ。今、荷物まとめてくるから。
あんた達の大事なこの子、ちゃんと返してあげるから」
……友里亜は、やっぱりかけがえのない親友だ。
友里亜の部屋に来て、荷物をまとめる。
って言っても、友里亜がまとめてくれてる。
ぐずぐず泣いてるあたしじゃ、埒があかないと。
でもたいてい借りたりしていたので、荷物は少ない。
「…やっぱり、あんた達兄弟が羨ましいわよ」
「…え?」
「たかが家出であんな心配してくれる人、いないわよ!……まぁ、最後は格好悪かったけどね」
くすっと、友里亜が笑う。

