「嘘おっしゃい!寝言で、旦那の名前呼んでたわよっ」 「嘘!?」 「ほんと。」 ………末期だ。 だけど、日に日に濃くなっていくクマが、なによりの証拠だと思う。 「…何意地張ってんの…」 「だって…どんな顔して帰ればいいか、わかんない……」 ――俺のせいか?―― ………やっぱり恐い。 だけどあたしのすべてが……凌兄を恋しがってる。 おやすみ、って声も。 おはよう、って声も。 ………ないんだもん。 会いたい。けどまだ、駄目。 あたしは、何に迷ってるの?