そしたら栞はまた、
「かわいーっ!!」
って、抱き着いてきて…
「わらったほうがもっとかわいいねっ!!」
僕に、そう言った。
可愛い。
孤児院でもよく言われた。
実はあんまり好きな言葉じゃなかったんだ…。
でも、この日から君だけに言われるのは、嫌じゃなくなった。
ニコッて。
僕に無邪気に笑いかけてくれた君。
――君の方が、何倍も可愛いよ…――
栞、栞はこのこと…覚えてるのかな?
でもね。
愛情を知らない僕にとって、君はとても眩しくて…。
まさに“光り”だった。
凌兄も勇紀も雛も。
同じところで生きていた者同士、なんとなくわかる。
きっと僕と同じことを感じていたはずだ。
この時に、君を好きになり。
君がいたから僕らは、今のような家族になれた。

