「わっちは、花魁になる。」







「苦界で生きる、何処よりも美しい花魁という華に・・・」







「お前は・・・それを望むのか?」







凪雛の問いかけに、雪月は大きく頷いた。








「凪雛姐さん、わっちを花魁にしておくんなし。」









「強い瞳だ。」








「オマエはなりんさい。暗く危険な、雪山で・・・旅人達が追いかけ続けるしかなくなる。仄かな灯。」








「雪洞という灯に・・・」








それは、おぼろげな月の宿る







静かな夜だった。