「お鈴。貴方は、わっちに凪雛を超えると言った。いつか、わっちを超えると、希望を残して。」








「希望だけ残して、遠く遠くへ行ってしまうなんて・・・お鈴、アンタはずるいでありんす。」









凪雛が、夜空を仰いで言った。









それから、静かな時が流れた。








赤い炎が消える頃、凪雛が言った。








「雪月、この吉原で桜が散ったら・・・ここ地獄から出してやろう。」








雪月は、凛とした瞳で凪雛を見つめた。







「断り申しんす。」







凪雛は、驚きの表情を隠せなかった。







「わっちは、自分の足でここを出ていきんす。自分の足で、ここを出ていくために・・・」