それは、秋。






紅葉の季節も終わり、いよいよ冬になるという頃だった。






そして、ようやく雪月が風鈴の姿を、美楼閣で探さなくなった頃。







雪月は、凪雛の座敷へと呼ばれた。







「失礼いたんす。」






「お入り、雪月。」






低く、深い声が聞こえた。






座敷に上がると、4人の女性と一人の男性が座っていた。






両側に呉葉と氷雨。






中央に、女将と凪雛が座っていて、凪雛の横に、雪月が見たことがある男性が座っていた。







確か・・・凪雛姐さんの馴染みの客で、神納 カノウ様。







幕府のお役人をしていて、若いのに重役に着くという期待の星だ。








その向かいに一枚の座布団が用意されていた。







「お座り。」






そう言って、薦められた座布団に腰をおろした。