「なんでわっちだけ・・・」






それからまた一週間。






その夜は、美楼閣の遊女全員に惣仕舞 ソウジマイ をつけ、大宴会となっていた。






浴びるように酒を飲んでいるだろう遊女たちを想像して、深いため息をついた。







何故だか、雪月だけ今日の宴会に参加することを許されなかった。







他の禿達は、手伝いへと回ってるだろうに・・・






「あ~あ・・・。」






そう言って、庭の縁側に寝転んだ。






「ゆーづき。」







「風鈴姐さん・・・」






いつもより、豪勢な着物を着た風鈴が、雪月の隣に座った。







「いいんですか?主役が抜けて・・・」






「みんな意識なんてありんせん。もちろん、清次郎さんも・・・」







清次郎 セイジロウ。






風鈴の身請け相手。






耳にすることはあったが、直接会ったことはなかった。