「悪かったね、氷雨。」






「凪雛・・・」






遠くの廊下から、凪雛は雪月を見つめていた。







「わっちは何も・・・吉原の誇りを教えてやっただけだ。そこから何を考え、どう動くかは、雪月次第だ。」







氷雨は、雪月を少し見つめて何処かへと消えた。







凪雛は、空を見上げ続ける雪月を、ずっと見ていた。








「姐さん。」






後ろから第三者の声がかかった。






「風鈴か。どうした?」






「いえ、本当に可愛がってるんだなーって思って。」







そう言って、悪戯ぽく微笑んだ。







「そう見えるかい??」







凪雛が低く呟いた。