「吉原とは、地獄。夢と現の間 ハザマ 。」






夏の猛暑日で、蝉がうるさく鳴く。






しかし、氷雨と雪月の周りだけ静寂が訪れている。






「わっちらは苦界で生きている。生半可な覚悟じゃ、この世界で生きていけん。」







「しかし・・・苦界で生きていく華ほど、美しいものはありんせん。」







それだけ言うと、背を向けてもと来た道を戻って行った。






「夢と現の間・・・」







雪月は、入道雲の立ち込める空を見上げた。