夜見世が終わる暁九つ時。






「雪月、ちょっと来ておくんなし。」







「なんでしょう、風鈴姐さん。」






雪月が、風鈴の禿となってから早二ヶ月。







引っ込み禿の内定の時期が近付いてきた。







「ちょっとね、凪雛姐さんと女将さんに届け物をしてほしいんだ。」







「凪雛姐さんにも?」







雪月は顔をしかめた。






「そう。何か嫌なことでも・・・」







「そういうわけじゃ。でも・・・凪雛姐さんの座敷は落ちつかないって言うか。」







「でも、風鈴姐さんの部屋は・・・アレ・・・・・・」







「ん?」







「姐さん、窓枠の風鈴は・・・」