「その子の意識はあるの?」


「ないよ。
あたしも表に出るまではこの子の記憶がないしね。」



よかった、と内心ラスは安堵した。



もし、記憶があったなら、きっとルナではないと見破れなかっただろう。



気付いたのは、シャナに敬語じゃなくなった時だ。



芝居であろうと、ルナなら敬語を通すだろう。



シャナが起きた時身を乗り出さず俯いていたとき、入れ替わったのだろう。



ラスはそう当たりをつけている。



…どうしたらルナを元に戻せるか。



ラスは注意深く相手を観察しながら考えた。



「あんた、いつ死んだの?
どうしてルナを選んだの?」


「あたしは去年、殺されたのさ。
彷徨っていたときこの子が通りかかったもんだから、たまたま入ったんだがあまりにも居心地がいいもんでずっと居座ってるよ。」



くくくっと気味の悪い笑い声を上げ、霊は笑った。



ラスはまたもや武者震いを殺す羽目になった。