「アル!」



思うように足は動かないが、出来るだけ速く動かして追い付く。



アルは早足で、追い付くには走るしかなかった。



脳震盪を起こしていたシャナにはかなりきつかった。



「待ってよ。」



やっと追いつき、袖を掴む。



しかし、アルに邪険に振り払われ、よろけてしまった。



「あっ!?」



視界がぼやけ、感覚が無くなり膝をつく。



しばらく耳鳴りと戦ってから、顔を上げると、とっくに歩き去ったと思っていたアルが目の前に立っていた。



「ゴメン。」



顔を歪めて呟きながら、アルはシャナを引っ張って立たせた。



「ありがとう。」



嬉しかったのでここは素直に甘える。



立ってからも目眩に襲われ、アルにしがみついた。



今度は腰に手を回して支えてくれた。