月の雫〜The Moon Drop〜

なんとか深呼吸して自分を落ち着かせる。



そして、大きく息を吸って、アルの名前を叫んだ…つもりだった。



今まで呟くことしか無かったのでわからなかったが、声が擦れて出なかったのである。



「…ア…ルッ…!」



果たしてシャナの声は向こう岸のアルに聞こえたかどうか。



顔を上げないということは、聞こえなかったのだろう。



シャナはショックで呆然と喉を押さえた。



せっかく見つけたのに、ここで声が出ないなんて…!!



悔しい!



シャナは辺りを見回し、手ごろな石を引っ掴むと、思いっきり振りかぶって投げた。



石は小さく回転しながら、川の真ん中ほどに落ちた。



大きく音を立てたのに、アルは見向きもしない。