「そんな事無いわよ。

ラス、トランペット上手になったのね。
聞いていて気持ちがよかったわ。」


「練習したからね。」



嬉しそうにへへっと笑うラスをみて、シャナはふと思った。



まだこの子は子供だ。

純粋無垢で、素直に気持ちを表せる。

この純粋を守らなきゃ。




シャナは静かに誓った。



「ラス、そろそろ出て行ったほうがいいんじゃない?」


「えっ、まだ話してないのに?」


「お父様に話しているところを見つかったら、また離されるかも。」




ラスは渋々椅子を元に戻し、シャナに挨拶して出て行った。



シャナはラスが出て行ったのを見ると、ふう、とため息をついた。



「なんとかしなきゃ。」



ラスと、そして何よりアルといられるように。