月の雫〜The Moon Drop〜

「私、初めてなの。」


「知ってる。
僕は誰よりも姉さんをわかってるつもりでいるんだ。」


「私もラスを一番わかってるつもりよ。」



二人は顔を見合わせて笑った。



「その僕が保証する。
姉さんの運命の人はアルだよ。」


「ありがとう。」



そう言って、シャナはラスを抱き締めた。



久し振りにシャナはラスと話した。



スワンから弟にも会わないようにと命令されていたからだ。



「姉さん、幸せになって。」



唐突にラスは顔を上げた。



「姉さんは今までベラの分までスワンの娘として立ち回ってきた。
もう解放されていいんだよ。」



ラスの言葉にシャナは涙が溢れた。



「ありがとう。
でもあなたは?
あなたは一生涯スワンの次期当主、当主として生きていくのよ?
自由な結婚なんか到底望めないわ。」



ラスは優しく笑って言った。



「わかってる。
だからって姉さんまで自由を失うことはないんだよ。」