月の雫〜The Moon Drop〜

「まだ、来ない。」



最近着始めた毛皮のコートを羽織り、シャナは窓辺に座っていた。



その時、ノックの音が聞こえ、シャナは慌てて返事を返した。



「どうぞ。」


「シャナイア。
元気でしたか?」


「バルザック公爵…。」



今日で何回目だろう。


アルが行ってから、公爵が尋ねてきたのは。



「今日はだいぶ寒いのに、窓のそばにいたのですか。」



公爵はコートの襟を立て、寒そうに首をすくめた。



「雪景色が好きなんです。」



本当は、雪景色の向こうに見えるものを探しているのだが。



「そうですか。」



公爵は窓に歩み寄り、パタンと閉めながら言った。