月の雫〜The Moon Drop〜

「スワン領主様の許しをもらえたので。
いけませんでしたか?」


「ええ。
とても。」



心底公爵は驚いた顔で聞き返した。


公爵に言い寄る娘は山ほどいたが、断る娘はシャナしかいなかったのである。



「どうしてです?」


「返事は毎回申し上げておりますが、いいえです。
まだ結婚したくはありません。」



公爵はシャナを見下ろし、語気を荒げた。



「もう結婚してもいい年です!
もう婚約はしたんですからいつでも婚姻届は出せますので。
失礼!」



長くて無駄に豪奢なローブを翻し、公爵はドアをバタンと閉めて出て行った。






「大丈夫なのか?」



心配そうにアルはシャナをベッドに座らせた。



「かなり大事になったわね。」