月の雫〜The Moon Drop〜

「なにも。」



いきなり萎れたシャナに恐れをなし、アルは優しく声をかけた。



「もう旅はしばらくしないつもりだから。
毎日シャナに会いに来るよ。」



思ってもなかった申し出に、シャナは大声をあげた。



「本当!?」


「うん、だから機嫌直してよ。」



相当弱ってアルはボソッと呟いた。



「うん、ゴメンなさい。」


「…シャナ、あのさ。」


「うん?」



アルが口を開こうとしたとき、また廊下から足音が響いてきた。



「もう、まただわ!」



アルもこの間隠れたクローゼットに素早く逃げ込んだ。