月の雫〜The Moon Drop〜

「ゴメンなさい、私まだ結婚の事は考えていないんです。」


「毎回同じ答えです。
もうあなたも17歳になるんですから結婚してもいいでしょう。」



内心の苛立ちを押し隠し、シャナイアは首を振った。



「まだ、です。」


「そうですか。」



バルザック公爵はあからさまにムッとした顔をして、言った。



「それならスワン領主様に直接話してきます。」



シャナイアはハッと顔を上げた。



「求婚の話は言わない約束です!」


「でもあなたが良い返事をなさらないんではありませんか。」



冷たい目をシャナイアに向けると、公爵はスタスタと歩いて行ってしまった。



そんな!


私はまだ結婚なんかしたくない。



しかも、あんな男と!



小さい頃からおてんばで、自由が好きだったシャナイアは世間体ばかり気にしている男と結婚するのが嫌でたまらなかった。