月の雫〜The Moon Drop〜

「まだ返事はしていません。」


「しかし、するのだろう?」



貴族の男性からプロポーズされた女性はよっぽどの事が無い限り受けるものとされている。



シャナの場合、相手が高位置な貴族なため、断る理由は特にない。



でも、とシャナは言い返した。



「私はまだ結婚したくはありません。」


「私に恥をかかせるのか?」



スワンはいくらか気分を害したらしく、不機嫌に言った。



「まだ自由に生きたい。」



シャナの言葉はスワンに届かず、スワンはさっと部屋を出て行った。



残されたシャナははあっと大きなため息をついた。




「もう出てきていいわ。」



シャナが振り返らずに言うをと、遠慮がちにクローゼットが開いた。