月の雫〜The Moon Drop〜




スワン領地の隣の街、バリューに着くと、アルはまず馬を買う為丘に向かった。



しばらく緩やかな坂を上っていくと、広大な放牧用柵と建物が見えて来た。



「この馬、ジャスパーはここで買ったんだ。」



アルはシャナが乗っている馬をポンポン叩いて言った。



艶やかな茶毛のジャスパーは、ここを懐かしんでいるのだろうか。


シャナは首を撫でてやりながら思った。






「すいませ〜ん。」



アルは扉を開けて、声を張り上げた。



広い厩舎にこだまする声の他には何も聞こえない。



「はーい。」



しばらくすると、パタパタと女の子が走って来た。



年はシャナと同じくらいだろうか。



汚れた服を着て、頬を泥で汚していても、十分に可愛い女の子だ。


「よぉ、メリー。」



アルは少し照れたように挨拶し、話し出した。