「アル〜、いつまでいじけてるんだよ。」


「黙れ。」



アルは不機嫌にそう言い放ち、馬の手綱を引いた。



まだ一頭しかいない馬に乗っているのは勿論シャナだ。



荷物と共に、ちょこんと腰掛けている。



そして、男2人は自力である。




まださっきの事でいじけているアルは、残った荷物をほとんどラスに持たせ、自分は手綱を持つという名目で荷物をほんの少ししか持っていない。



「アル、大人気ないよ。」


「黙れ。」


「アル、怒らないでちょうだい。」



シャナが声をかけると、口を尖らせて黙るアル。



これぞ鶴(シャナ)の一声。



ラスはまたため息をつきつつ、小さく笑った。



「何だよ。」



またグチグチ言われても鬱陶しいので、ラスはとぼけて誤魔化した。