「裁縫だのなんだのを教え込まれてあまり力仕事してないから。」


「そっか。」



お嬢様なら、料理や洗濯なんかよりそういうマナーとかお嬢様業を習うんだな。



「シャナ裁縫得意なのか?」



抱えているシャナに声をかける。



「得意ではないけど、ある程度は。」


「じゃあこれからは重宝するぞ。」



服が破れても新しいの買う金ないからな、とアルは付け足した。



「俺が実践第1号になるのか。」



フニャッと腑抜けた笑顔を見せたアルを、ラスは現実に引き戻した。



「あ、僕が第1号だったよ。」


「え"。」


「前に破れたぬいぐるみ縫ってもらったもん。」



抱えているシャナをフラフラと手放し、アルは崩れ落ちた。



「なんだよぉ。」


「もし姉さんが実践初めてでも誰がアルに第1号渡すんだよ。」



冷ややかに切って捨てられたアルがしばらくいじけたのは言うまでもない。