ゲジッとアルの蹴りを食らい、男はヒヒッと笑ってみせた。



「いやあ、でもこの娘も旅に連れてくとは。
…出発前からえれぇバテてるみたいだが。」


「生まれて初めて背嚢背負ったって言ってるんだ。」



アルも苦笑いである。



「はあ!?」


「だってコイツ、スワンだもん。」



あっけらかんと言うアルにまた驚いた声を浴びせる。



「あ、ちなみにコイツは弟のラス。
このくたばってるのがシャナな。」


「よろしく。」



シャナの分のリュックを持ってもけろりとしているラス。



この姉弟の違いにまた男は驚きの声をあげた。



「まあ、馬出して。」


「お、おう。」



男はまたのたのたと奥に入っていった。



「姉さん、女だから。」



弁解するように、ボソッと言うラスに、アルは微笑んだ。



「わかってる。
体力無くて当たり前だ。」


「そうじゃなくて。」


「え?」



アルが聞き返すと、唇を尖らせてラスは言った。