その夜遅く、ルナが動き出した。
中身はルナではなく、取りついている霊だ。
「もう少し。」
もう少しで身体はあたしの物になる。
この半年で身体を乗っ取れるように準備して来た。
あと1つの課題をクリアすれば…。
残された課題とは、身体とは別に魂を取り、自分の動力とする事だ。
最適なのはやはり人間。
生前やってきた闇の魔術で難なくとれるだろう。
彼女は口の端を吊り上げ、静かに笑った。
外に出かけて、ハッと気付く。
手近な所にいるではないか。
思い立った彼女はもと来た道を戻り始めた。
なるべく足音をたてないようにして寝室に忍び込む。
そこには静かな寝息を立て、熟睡しているシャナがいた。