退屈。
男はみんな、私を知ろうとしない。
家柄だけを気にして、私の心はどうでも良さげ。
私は物じゃないのに…。
「シャナイア。
どうしたんだ?」
バルザック公爵がシャナイアの手を取って言った。
「いえ、別に。」
精一杯遠慮しながら手を抜き取る。
さりげなくドレスで手を拭きながらお辞儀をし、その場を去ろうとした時、腕を掴まれた。
「えっ!?」
自制が間に合わず、思わず遠慮会釈ない声が出た。
「もう何度も舞踏会の度言っていますが、返事は?」
シャナイアは目を伏せ、哀しげな目をしてみせた。
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