忘れないで


1限目は国語の古文だった。
昔の人も恋をしていたのだろうか。
大昔はケータイなんてない。きっと手紙でやりとりしてた。

現代の人たちはみんなメールで話したりしてるけど俺は恋文も結構いいとおもう。

もし俺が昔の人だったら何枚の恋文をしゅんにあげるんだろう。

しゅんにだったら限りなく書いていたいな。

─なーんてこと考えてたらチャイムがなった。

みんな席を立ってしゃべりだす。
俺のところに汰玖が来た。

「よう波留!」
「おう汰玖。」
「国語の時間ずっとボーッとしてたろ?恋でもしたかぁ?
────なわけないか。
波留が恋なんて…」
「俺昨日出逢った女がいてさ、今そいつのことが好きなんだ。」

汰玖が固まった。
まあ俺が女好きなるの珍しいしな─…

「ええ〜?!
めっずらしいじゃん?!
波留が女好きになるなんて…?!」
「まあ…つーかあんま大声でゆーな!!」
「で、どこの誰よ?」

俺の言葉に全く無視して汰玖は話を続けた。

「んー…いいたくない」

見せたくない。
だって────俺だけのものにしておきたいから。



こんな嫉妬深い奴、
しゅんに嫌われるかな…。