今日の・・・

「あ、次の人!」
霊道の次に出てきたのは、亡くなった子供と話がしたいという両親の話だった。2年前、高校1年生で交通事故で亡くなってしまった女の子の親が出ていた。霊能者も違う人に代わっていて、女の子が言いたいことを両親に伝えると言う。その家のリビングで、霊能者とリポーター、両親が対面する形で座っている。一人娘を亡くした両親の顔はモザイクで隠されているが、明らかに覇気もない。当たり前か・・・。
「これからって時に死んじゃうなんてね・・・・」
夕実が言う。
「うん。親より先死ぬのはあかんね。仕方ないんだけど・・・」
「運命?」
「う~ん、生死に関しては私も未知の世界。神様の域だからね、触れちゃいけないのかも。しいて言えば寿命って言うのかな・・・」
テレビでは、霊能者が自分の体を使って、女の子を移らせ喋らせていた。随分泣いている。
「これ、どうなの?」
顔をしかめて夕実が言った。
「・・・・いい加減なこと言ってるよ、このおばちゃん」
「うそ?!」
霊能者は、目をつぶって涙を流しながら切々と両親の健康を案じたような言葉を発していた。お父さん、お母さんの子に産まれて良かったとも、これ以上泣かないで欲しいとも・・・・。
「それはそうなんだけどさ・・・。夕実、見えへん?お母さんの右後ろ」
「え?」
「女の子いるやろ、制服着た・・・」
「えぇ?!ちょっとテレビ通してじゃ、私には見えないけど・・・・。いるの?」
「全然、乗り移ってなんかないやん。困った顔して、お母さんの後ろにいるし」