10月9日
10月だと言うのにまだ暑い。今日は土曜日で午前中の授業の後、そのまま夕実が家に遊びに来ていた。夕実は大学の同級生で、北海道出身、色白で華奢な可愛い子である。入学してから、最初に声をかけてくれたのが夕実だった。
「助けてもらえませんか?」
と言うのが第一声だったので、びっくりしたが、夕実も霊感の強い子で、私を見たときにすぐにこの人なら、と思ったそうだ。夕実は感じたり、聞こえたり、たまには見えたりするだけで、追い払うとかシャットダウンするとかそこまでの力がない。当時、学校近くのワンルームで同じように一人暮らしを始めたばかりの夕実は、新しい部屋での怪現象に悩まされていた。よくある、と言ってしまえばそれまでだけど、夕実のような体質の子には辛いと思う。
結局、部屋にいたのは、5年ほど前にこの部屋で首を吊った若い女だった。付き合っていた男に振られたのが原因のようで、なのにその男との思い出が詰まったこの部屋を出て行くことが出来ない。失恋で自殺ってだけで、私にしたら、えぇ~?!って感じなのに、とこもあろうに成仏を祈る私たちに向かって
「お前たちが出て行け。でないと 殺す」
と言い放った。しかも本気で。そんなんやから振られるねん、と思いながら頭にきたので、普段はあまり使うことの無いおばあちゃん直伝、「火の術」で消してやった。やはり、火のパワーと言うのは凄いもので、わかりやすく言うと、「蒸発」させた。彼女は、二度と生まれ変わることも無い。天国にも地獄にも行かない。文字通り、消えて無くなった。
夕実は、完全に気配も消えて、かえって安心、と言ってそのままこの部屋に住み続けている。
10月だと言うのにまだ暑い。今日は土曜日で午前中の授業の後、そのまま夕実が家に遊びに来ていた。夕実は大学の同級生で、北海道出身、色白で華奢な可愛い子である。入学してから、最初に声をかけてくれたのが夕実だった。
「助けてもらえませんか?」
と言うのが第一声だったので、びっくりしたが、夕実も霊感の強い子で、私を見たときにすぐにこの人なら、と思ったそうだ。夕実は感じたり、聞こえたり、たまには見えたりするだけで、追い払うとかシャットダウンするとかそこまでの力がない。当時、学校近くのワンルームで同じように一人暮らしを始めたばかりの夕実は、新しい部屋での怪現象に悩まされていた。よくある、と言ってしまえばそれまでだけど、夕実のような体質の子には辛いと思う。
結局、部屋にいたのは、5年ほど前にこの部屋で首を吊った若い女だった。付き合っていた男に振られたのが原因のようで、なのにその男との思い出が詰まったこの部屋を出て行くことが出来ない。失恋で自殺ってだけで、私にしたら、えぇ~?!って感じなのに、とこもあろうに成仏を祈る私たちに向かって
「お前たちが出て行け。でないと 殺す」
と言い放った。しかも本気で。そんなんやから振られるねん、と思いながら頭にきたので、普段はあまり使うことの無いおばあちゃん直伝、「火の術」で消してやった。やはり、火のパワーと言うのは凄いもので、わかりやすく言うと、「蒸発」させた。彼女は、二度と生まれ変わることも無い。天国にも地獄にも行かない。文字通り、消えて無くなった。
夕実は、完全に気配も消えて、かえって安心、と言ってそのままこの部屋に住み続けている。
