「〇〇大学春休み恒例ー。ぶらり途中下車の旅ー。」

洋樹と別れて、一年が経とうとしている。

アタシは〇〇大学に入学した。

洋樹は…。

あの、都心の大学に入学した。

あれから、洋樹とは連絡をとってない。

「はいはい、みなさん。18きっぷは持ちましたね?」

「「「ハーイ!」」」

「一年生はまず、後迂回銅線を下っていきますよー!」

「「「ハーイ!」」」

「直感で降りてみたいと思った駅があれば挙手してくださいね。」

「「「ハーイ!」」」

…みんな元気だなー。

「優紀ちゃん!心惹かれる駅名はありまして?」

えっ…。

えっ??

「うーん…。」

駅名を見ていると、見覚えのある駅名が目に入った。

【湯ヶ原】

ここは…そうだ!

梅祭りがあった、あの駅だ。

「特にないや。」

「そ?」

みんなは洋樹のこと、知らないんだね。

「そーいやさ、優紀ちゃんって小説書いてんでしょー?」

「あー、うん。」

「ああいうのって、やっぱり自分の経験がモトだったりするの?」

「や、どうかな、そういう部分もあるのかな。」

小説は今でも変わらず書き続けている。