愛が呼んだもの

「そりゃ、こんだけ長く居ればね。」

あ、そうか。

最近話すことなくなった、って。

話さなくても分かる部分もあったからってこともあるのかな。

うーん、さすが熟年カップル…。

まあ、それが、不安だったりもしたんだけど。

「「スゲー。」」

梅祭りはいろんな種類の梅の花が沢山たくさん、咲いていた。

どの花も満開で、素晴らしかった。

「…梅。」

呆気にとられていたら、洋樹が口を開いた。

「梅干食いてー…。」

馬鹿?

馬鹿なの??

あ、そーいやこんなセリフどっかで言ったな。

「…買って帰る?」

そんなに好きなら、と思って梅を購入することをすすめた。

「あっ!洋樹。梅ソフトだってー。」

「今年は初ソフトだな。」

洋樹はうめー、うめーと連呼して、ソフトクリームをバクバク食べている。

アタシはもう、ツッこむのが面倒くさい…。

楽しそうな洋樹の顔を見ていたら、ふと、ふと思った。

アタシたちは、テレパシーが通じるくらい。

以心伝心するくらい、一緒にいたんだ…。

言わなくても通じるってすごいことなんだね。