俺が落ちた隙に、 兄貴が遥香の手首を縛っていたネクタイをほどいたらしい。 チッ… 『あ、ありがとうございます』 『…あと、だ、大丈夫?』 なんとあの遥香が心配してくれた。 『遥香…助け…て』 遥香がが手を出して俺を起きあがらせようとすると、 『いいよ、こいつが悪いんだから』 といつもより低い声で言って、俺を睨んできた。 前にも、兄貴がこうなってしまったことは何回かあるが、どうもぶち切れてる時の記憶はなくなるらしい。 病気ではないらしいんだけど。 _