『さて』
裏にある
パイプ椅子に
その子を座らせ
もぅ1度
目線を合わせた
泣き疲れたのか
もぅ涙は止まって
いるが
その目は赤く
腫れている
『オレンジジュース
飲む?』
そぅ聞くと
微かに頷いたから
近くにあった
冷蔵庫からオレンジ
のビンを取って
コップに注いで
渡してあげた
まぁ店長にバレたら
透牾が飲んだって
言えば良いか
あっという間に
オレンジを
飲み干したその子は
ほっと息をつく
少し落ち着きを
取り戻したらしい
『お名前は?』
「..ゆずき」
やっと目を合わせて
話をしてくれた
鈴を転がしたよぅな
可愛い声は
小さな女の子
特有だと思う
『何歳?』
「5歳」
手をパーにして
自分の歳をあらわす
その姿が
なんとも微笑ましくて
自然にあたしも
笑顔になる
『ぱぱとままは?』
「...わかんない」
やっぱり
迷子か...
仕方ない
救護の人たちがいる
海の家はそぅ
遠くない
迷子なら
そこに連れて行く
しかないし
行きますか

