さっきの会話から
しばらく
この場所には
花火の音と
うるさいくらい鳴く
蝉の声しか聞こえない
理由は何より隣で
寝てる隼人が
口を開かないから
なんだけど
不思議と
居心地悪いとは
感じない
ただ花火を
見上げている
星空にも負けない
その輝きは
ほんの一瞬だけ
そのほんの一瞬で
人を魅力し
同時に切なくもさせる
様々な形.色
いくら花火が綺麗に
写った写真でも
肉眼で見るこの
迫力には到底
敵わないだろぅ
一際大きな音と共に
青い花火が
打ち上がった
「紗罹ちゃんはさ」
いきなり聞こえた
声に一瞬驚き
身を固くする
「好きな奴とか
いねぇの?」
タバコに火を
つけながら
変なことを聞いて
くる奴だ
「いるなら協力
してやるよ?」
意地悪そぅに
笑いながら
吐き出す白い煙りは
なんだかこの場所に
似つかわしくない物
に見える
『そんな人いない』
隼人から
空に視線を戻しながら
それだけ答えた
次に来る質問は
たいがい予想できる
「へ~なんでまた?」
ホラきた
絶対言うと思ったもん
「モテるのに
勿体ねぇな~」
なんて残念そぅな声
期待には
答えられないの
好きな人なんかいない
つくる気もない

