『売りたくないの?』
なんだか
さっきの否定の言葉
に疑問を感じて
つい言ってしまった
あたしなんかが
口を挟む問題じゃ
ないんだろぅけど
納得いかない
だって
本当は
売りたいとか
色んな人に
食べて欲しいとか
そんな顔してる
隼人が目の前に
いるんだもん
「ん~そりゃぁ
思うけんな」
ぽつりぽつりと
言葉を選びながら
話だした隼人
「今朝糞じじぃにも
食ってもらったんだ.
そしたら
まだまだだなって..
それだけ言って
厨房出てっちまった
こんなんじゃ
売り物にならねぇ
って話だ」
勤めて笑顔で話隼人
でもその表情の
裏には
悔しいって気持ちが
隠れてる気がした
黙って聞いていたけど
あたしが思うに...
『それって
期待されてるって
ことでしょ?』
だって期待してない
ならそんなこと
言わないもん
そぅ言ったあたしを
隼人は驚いた
表情で見つめ
すぐに優しく笑った
「正直に言って」
『うん』
「マフィン
うまかった?」
『すごく
美味しかった』
本当にそぅ思ったから
ありのまま伝えた
「そっか...」
照れたよぅに
笑う隼人
なんだ
不安なら不安だって
言えば良いのに
『才能はあんだから
自信持ちなよ』
本心だから
隼人の気持ちに届け
ば良いと思った
だいたい
あたしが褒めるなんて
めったに
ないんだからね

