花火を見るのも
飽きて
再び雑誌を手に
取ったとき
ふいに携帯が鳴った
メールかも
と思ったが
この音楽は
着信だ
画面には
隼人の文字
なんだろ...
『はい』
通話ボタンを押して
耳に当てると
隼人の声に混じって
女の子や男の子の声
あと花火の音とか
色んなものが
聞こえてきた
「紗罹ちゃん
今どこ~?」
それに負けないよぅに
声を張る隼人だから
あたしの耳には
うるさいくらい響く
『家』
「は?
祭来てないの?」
『家からでも
花火見えるし』
「1人?」
『まぁね』
また花火が上がった
「んじゃ今から
迎え行くから」
『は?』
俺ちょっと
用事出来た-
とあたしではなく
多分周りにいる
誰かに声を
かけているのが
携帯の向こうから
聞こえる
その後に
女の子の
隼人帰っちゃうの~?
という声も
ってか迎え来る
とか意味分かんない
何のために
家くんだよ
『隼人』
「なに~?」
『来なくて良い』
「なんで?」
『一緒にお祭り
行ってる子いるん
でしょ?』
「うん?
でも紗罹ちゃんのが
大事だから」
じゃぁ支度しといて
と一方的に
電話を切られた

