「紗罹ちゃん
遅い」
正門に行くと
本当に待ってる
バカがいる
『はいはい
すいませんね』
携帯をいじりながら
そぅ言うと
「謝るときは
人の顔を見ましょう」
なんて
あんたは先生ですか
『どこ行くの』
めんどくさくて
話題を変えた
「ん?良いとこ」
答えになって
ませんが
『変なとこ連れ
てったら殴るから』
「大丈夫大丈夫」
並んで走る自転車
さっきよりか
雲がなくなって
太陽が出てきたみたい
隣で走る
バカは鼻歌なんか
歌ってるし
意外にうまいし
なんであたし
こいつと
いるんだろぉ
やっぱ
帰って寝た方が
正確だったよな~
ってか明日
バイトだっけ?
あ~雨降らないと
良いけど
「そこ右ね」
ふいに掛けられた
声に意識が戻る
慌てて
ハンドルをきる
あたし
「そんで次も
右ね」
こっちに住み始めて
2ヶ月足らずの
あんたが
なんであたしより
詳しいんだ
ってかコレ
どこ向かってんの?
街とは反対方向に
向かってるし
こっちなんもないのに
どこ連れてく気だろ?
まぁ良いや~

