セーターから
タバコを取り出し
火を付ける
「沙罹ちゃ~ん?
今わタバコやめ...」
言い終わらないうちに
金髪頭の携帯が鳴った
「あい...おぅ」
電話だったらしく
そのまま話始める
金髪頭
あたしは
タバコから上がる
白い煙りを
ただ眺めていた
「じゃ~な」
暫くして
一通りの話が
終わったのか
携帯を置いた金髪頭
「透牾の自転車
明日返せば良い
だって」
電話をかけてきた
のは透牾だった
らしい
いちいち報告
しなくても良いのに
『仲良いんだ』
「透牾?
あいつね~俺が転入
してきたとき
最初に話かけてきた
奴だからね」
不思議なことじゃ
ない
透牾は中学のとき
から友達も多かったし
何よりバカで明るい
のが取り柄な奴だ
誰とでもすぐに
うちとけるのが
あいつの特技だし
『そぅ』
1本吸い終わる前に
タバコを吸ったとき
独特の怠さが
体を襲う
喫煙者にとって
この怠さが
ある意味心地良い
んだけど
今のあたしには
ちょっとキツい
半分ほど吸って
灰皿に押し付けた
もったいなかったな
ちょっと後悔

