Milk teA KiiS


『本当良いってば!』

靴を屐かえ
玄関を出たあたしは
少し先を歩く
あいつの背中に叫ぶ

さっきから何回も
この台詞言ってるし

その度に
自分の声が頭に
響くんですけど

あたしの鞄も
金髪頭が持ってるから
下手に逃げれないし

自転車置場まで来て
透牾の自転車を
探す彼の後ろで
また1つ溜め息

あたし今日だけで
随分幸せが
逃げた気がする...

明日から
嫌なこと続きだったら
絶対こいつに
文句言ってやろぅ

そんなことを
考えてたら
自転車に乗った
あいつが
あたしの前まで
来ていた

「乗って?」

『だからあたしは..』

「沙罹ちゃん家.
こっから歩いて
何分?」

『え?...20分くらい』

「結構あるじゃん
分かったら乗る!」

金髪頭は
笑ってるけど
やっぱりあたしに
拒否権は無いみたい

このままここで
言い争うのも
疲れるし

早く帰って寝たい
のも事実だから

仕方なくあたしは
金髪頭の後ろに
跨がった

「掴まって?」

チラっとこっちを
見た金髪頭は
とんでもないことを
言い出す始末

あぁもぅ何でも
良いですよ

半ばやけくそで
腰に手を回す

「素直でよろしい
んじゃ行くよ」

また偉そうな
ことを言いながらも
自転車は走り出した