「じゃぁ、また」
1台の車に
乗る前に振り返った
隼人があたしたち
3人を見た
最後なんだって
それが今なんだって
今更あたしの中で
黒い気持ちが
戸惑わせる
「おぅ」
「また、美味しい料理
作ってね」
舞奈海と透悟が
それぞれ
隼人の背中を押す
励みの言葉を
かけるのを横目に
あたしは
閉じたままの口を
固く結んで
隼人を見ていた
行かないで
言えたらどれほど
楽になるか
それさえ言えない
勇気のない自分
「隼人、時間だ」
車から
隼人のお父さんの
呼びかけが聞こえた
「分かってる、
..じゃぁ、元気でな」
車に乗り込む隼人を
止めなきゃ
もぅ2度と
会えないかもしれない
でもどこかで
分かっている自分の
僅かな理性が
引き止める
隼人は自分の夢を
掴むために
ここを離れるのに
それは他の誰でもない
隼人が決めた
ことだから
あたしが
こんなに悲しい顔
してちゃいけない
精一杯の笑顔で
隼人の車が
出るのを見送った
走り出した車
最後に絡んだ
隼人の視線が
元気でね
と言ってる気がして
目頭の奥が
熱くなったけど
ここで泣いたら
いけないから
必死に抑えた
最後まで
隼人が見ていた
隼人が好きだと
言ってくれたあたしで
いれたなら
良いと思いながら

