「帰ろっか」
あたしがタバコを
吸い終わると
そぅ言って立ち上がる
隼人
あたしは
それに反論もせず
立ち上がった
自転車を取りに
行く隼人
ただこの丘から
見える景色を
眺めるあたし
初めてここに
連れて来てくれたのは
隼人だった
地元なのに
こんな場所
知らなかった
この丘は
隼人に似てる
来る度に
違う景色が見える
この丘は
色んな表情を持つ
隼人に似てる
そぅ思いながら
ただ輝く夜景を
目に焼き付けた
泣きたいとは
思わない
ってかまだ
全部理解出来てない
実感出来てない
自転車の音がして
振り返ったら
隼人がいた
「...どぉぞ」
そぅ言って
あたしの前に
自転車を移動する
あたしは黙ったまま
荷台に跨がった

