Milk teA KiiS


間抜けな声が出た
のは自分でも
理解している

くくっと
喉で笑ったこいつは
ゆっくり
あたしの頬から
手を離した

「自覚なかったんだ」

笑いながらも
何故かあたしの
タバコを取り上げ
てるこいつ

『...タバコ』

「ん?あぁ
風邪ひいてる子は
こんなん吸っちゃ
いけません」

小さな子供を
あやすような言い方
に若干ムカついた

あたしのタバコと
自分のタバコを
消すと
いきなり学ランを
脱いだかと思えば
あたしの肩に
そっと羽織らせた

『...なに』

「寒いでしょ?
肩震えてる」

確かに
暖かいはずの
日差しの下にいる
のに何故か
寒さが消えない

「そんな格好じゃ
酷くなるし」

よっと立ち上がった
彼はあたしの
鞄を手に

「ホラ行くよ?」

と屋上から
出て行ってしまった

『ちょっあたしの
鞄返して』

立ち上がった瞬間
体がふらついて

あぁ風邪なんだ

って自覚する

自覚した途端に
気分の悪さが
体中を襲うから
嫌んなっちゃぅ

とにかく
あたしは鞄を
取られたまま

金髪頭の背を
追いかけて
屋上を後にした