「紗羅ちゃん」
『ん』
ふいに呼ばれた
あたしの名前
隼人が声を
発すると
白い息が辺りに溶ける
もちろん
あたしの息も白い
ブレザーのポケット
からタバコを
取り出して
火を付けた
ほんの一瞬
暖かく辺りを
照らした火は
本当に一瞬で消え
ただ白い煙りを
絶えず出し続ける
タバコが残る
なんだか
似つかわしくないな
なんて吸いながら
思っていた
綺麗過ぎるほど
澄んだ空気に
タバコは
似つかわしくない
長年吸ってきた
タバコをそぅ思うのは
初めて
なんか隼人といると
初めてのこと
多いな...
ってか
あたしさっき
呼ばれたよね?
返事したよね
なんで呼んだんだろ?
ってかそもそも
あたしなんで
ここに連れて
来られたのかな...
まぁ嫌じゃないし
寧ろ嬉しいから
良いんだけど...
あ~でも例えば
好きな子の相談とか
だったら嫌だな~

