最後の鍵盤を
弾き終え
ピアノの余韻が
響く中
息を吐く
あたしの耳に
手を叩く音が聞こえ
びっくりして
音がする方を見れば
微笑んで拍手を
してくれる
舞奈海がいた
『いつからいたの?』
「結構最初の方から」
そぅ言って笑った
舞奈海は
ピアノに1番近い
席まで歩み寄る
『全然
気付かなかった』
どれだけ集中して
たのかと自分に
苦笑する
舞奈海が入って来る
音も気配さえも
分からなかった
「良い曲だね」
そぅ言いながら
腰を降ろした舞奈海
『ありがとう』
ふいに降りた指が
また鍵盤を弾いた
メニュー