しばらくして
隼人はスープを
片手に戻ってきた
それまで
なんとか化粧を
直そうと鏡の中の
自分と格闘
あまりにも
悲惨な目をしてる
自分に苦笑した
それでも隼人が
戻ってくる頃には
まぁ見れる程度には
整ってくれた
鏡を鞄にしまう
あたしを他所に
静かにスープを
目の前に置く隼人
黄色い液体の上に
小さく緑の葉が
乗っている
所謂
コーンスープ
なのだろぅ
並べられた
スプーンを手に
『いただきます』
と小さく呟けば
「どぅぞ」
と声が返ってくる
口に含めば
ほんのり甘く
なめらかな口当たり
こぅゆぅとき
なんて言えば良いか
あたしは知らない
とっさに出た言葉は
『美味しい』
という
なんとも
ありきたりで
曖昧な表現だった
それでも
その一言が
1番しっくりする
隼人の手にかかれば
スープでさえ
この世界で1番
美味しいものに
変わってしまう
気がしてならない
そんなあたしの
気持ちを知ってなのか
隼人を見れば
嬉しそぅに微笑んで
くれていた

