「今度な..」
『うん』
グラスをテーブルに
置いたとき
父が口を開いた
同時に胸の奥が
ざわつく
聞きたくない
それでも
聞かなきゃいけない
「近いうちに
再婚しようと思って
るんだ」
予想はしていた
分かっている
それでも
聞きたくて
『...相手は?』
なんて言って
しまった
母じゃないことくらい
1番近くで見てきた
あたしがよく
分かっているのに
「同じ会社の人だ」
鈍器で頭を
殴られたみたいな
衝撃
父の言葉を
理解したくない
なのにどっかで
冷静な自分がいる
どぅして
気づかな
かったんだろぅ
幸せそぅに
主張する
左薬指のリングに
シルバーに光る
その指輪は
母とのものじゃない
あたし観察力
ないな~
自嘲気味に
笑ってしまったのは
自分のばからしさに
嫌気がさしたから

