Milk teA KiiS


2本目のタバコに
火を付けたとき

ふいに1人の男性が
店内に入ってきた

見たことある

そぅ思いながら
煙りを吐き出して
いると目が合った

こっちに歩いてきて
やっと分かった

父だ

「紗羅...
久しぶりだな」

そぅ言って
あたしの目の前に
座った父

「変わったな」

優しく笑う姿は
あたしの記憶にある
父そのもの

突然の登場に
あたしは言葉も
見つからなかった

何か話なくちゃ

お父さんも
変わったね

元気だった?

言いたい言葉は
たくさんある

なのに言葉が
出てこない

吸うことも忘れた
タバコだけ

あたしの手から
白い煙りを
出し続けている

「梨夏は元気か?」

そぅ言われて
やっと声が出た

『元気だよ』

自分の気持ちとは
裏腹に
思った以上に
落ち着いている
声が響く

しっかりしなきゃ

感傷に浸ってる
場合ではない

あたしが今日
ここに来たのは
最後の別れを
言うためだから