『焼けたん
じゃない?』
「ん?あぁ」
ガサガサと
音がしてるから
多分オーブンから
キッシュだかを
出してるんだろぅ
「そぉいえば
明後日体育祭だな」
『へ?あぁうん』
「準備は順調?」
『まぁね』
「そっか」
ガタンという音が
したのは
なんだろぅ?
電話の向こうから
する音が
いちいち気になる
「んじゃそろそろ
切るわ」
『うん』
「また学校でな」
『はいよ』
静かに電話が
切られたのが
分かった
携帯を閉じて
そっとテーブルに
置く
不思議なことに
さっきまでの
不安とか虚しさは
無くなっていた
なんでだろ?
たった5分程度の
会話だが
どっか
安心した自分がいる
でもそれは
きっと誰かと話せた
からだろぅと思った
気晴らしになった
電話に出て
良かったのかも
少しずつ明るくなる
空を見上げながら
することもないから
化粧道具を並べ
化粧をしてみた
雑誌を見ながら
久しぶりに
ちょっと違う化粧に
挑戦してみた

