Milk teA KiiS


「美味しい?」

黙って紅茶を
啜っていたら
正面に座る
隼人が口を開いた

あたしは
黙ったまま
首だけ縦に動かした

「良かった」

同じ物を飲んでいる
のだろぅ
隼人のグラスからも
紅茶の香がする

「紗罹ちゃんさ」

『なに』

そぅいえば
さっきもこいつ
何か言おうと
してたな

「なんかあった?」

息を飲むのが
自分でも感じていた

核心を
つき過ぎでしょ
その質問

ってかあたし
態度出てた?

『なんで?』

一応
質問返しをしてみる

態度に出てたなら
気をつけなくちゃ

「いやなんとなく」

『なんとなくって..』

その言葉に
肩の力が抜けた

全く
びっくりさせないで
欲しい

「たださ
いつもと
違うな~って」

『どの辺が?』

「雰囲気?」

疑問を疑問で
返さないでくれ

『なにもないよ』

息を吐いて
グラスを回しながら
顔も見ずに答えた

何かあった

嘘じゃない

何もなかった

嘘じゃない

昼間見たものは
余りにも
非現実的過ぎる

まるで夢でも
見てたかのよぅに

時間さえ
止まったかのよぅな
感覚

そぅ

だから何も無かった

それで良いの

少なくとも
隼人には関係ない