「因縁のあの男?」

「ああ、まだ話してなかったな。」

陽一が珍しく真面目な表情になった。

「俺、ネットだけでなく色んなところでトランプやってるんだけどさ。あ、もちろんお金を賭けてな。」

圭介は、陽一がトランプで賭けていることを初めて聞いた。

「でも陽一、お前トランプつえーだろ?馬鹿なことしないかぎりそこまで負けないんじゃないか?」

圭介がそういうと、陽一は顔をうつむかせた。陽一が握り拳を作りフルフル震わせていた。力が入っているのがわかる。

「大金を持ってかれた。」

「大金?どのくらい?」

「100万」

圭介は思わず大声をだして後ろへひっくり返ってしまった。

大学生で、いや大学生でなくとも100万円を失う事は大きい。